| 自閉症は「治らない病気と思っていたが、治るのですか?」という純粋な疑問が存在するはずです。その答えは「治ります。」
いやいや「それは大風呂敷を広げた、眉唾物だ。」
という反論もあるかも知れません。とすると、もう少し正確に説明します。
現在、世界の優秀な生化学者と医師によって、オーソモレキュラー治療(正常生体分子治療)が実践されています。そのほとんどの症例で症状が改善し、最終的には、ごくわずかな治療手段による維持療法で、普通の家庭生活や社会生活をしています。すなわち、ほぼ治癒、完治ともいえる症例が数多く存在していることは、事実なのです。それは米国を中心とする、オーソモレキュラー治療を受けた自閉症児たちが証明しています。日本でもこの治療がスタートし始めたのです。
ここで少し自閉症とオーソモレキュラー治療の歴史について触れておきます。
自閉症は1943年、米国の小児精神科医、カナーにより11例が報告されたのが最初であり、1年後の1944年、オーストリアの小児科医、アスペルガーが、現在のアスペルガー症候群の小児を報告したことにより発見された、広汎性発達障害です。
「広汎性」とは障害領域が多岐にわたっているという意味です。近年、自閉症は知的レベルや症状が広範囲にわたっており、知的障害のない症例から、知的障害が重度な症例に連続することから「自閉症スペクトラム(連続体)」と言う枠組みでとらえる見方が広まりつつあります。
発見当初は環境要因によって生じる説や、遺伝説もあり、疾患は大脳に基づく、治療不能な脳の病気として、とらえられていました。「自閉症」という文字からも、患児の様子からも「心を閉ざした人」というイメージをもたれがちですが、しかしそれは誤解です。現在は従来の考え方とは違い、環境要因によって引き起こされ、遺伝子によって影響され、大脳に影響を与え、大脳と他臓器を含み、脳と身体全体の両方に基づく、複合的な病気、というのが最近の考え方です。
人により定義は異なりますが、自閉症は先天的要因に大きく依存する、広汎性発達障害です。年齢とともに、そして療育(治療教育)の効果で変化、成長、回復してゆきます。そしてその成長、回復は障害のない定型発達児の発達とは、少し異なる過程をたどります。
療育は、家庭だけではなく、教育、福祉、行政、医療などの専門家が、多方面からかかわります。それぞれが協力し合って、自閉症児の発達を促し、自立と社会参加を目指したサポートをします。患児が「自尊感情」を持つことが、とても大切です。
ここでさらに、オーソモレキュラー治療について述べなければなりません。
この概念を提唱したのは、米国のライナス・ポーリング博士です。
量子化学者で生化学者である彼は、自身を結晶学者、分子生物学者、医療研究者と自称していました。20世紀における最も重要な化学者として、世界に広く認められています。ノーベル化学賞と平和賞を、他の人物と共有せずに2度受賞した唯一の人物です。
ポーリングは1965年に、カナダの精神科医エーブラハム・ホッファー著「精神医学におけるナイアシン療法」を読んだ後、1968年のサイエンス誌に
Orthomolecular medicine(分子矯正精神医学)と題した論文を書き、1970年代に流行し、物議を醸したビタミン大量治療の原理を与えています。
ポーリングの造語であるOrthomolecular(分子矯正、分子整合)とは、病気の抑制や治療の際に、体内物質の濃度を操作する手法を意味しています。
オーソモレキュラー医療の根本的発想は、遺伝的要素が個人個人の身体的特徴のみならず、生化学的環境にも大きな影響を及ぼすという点に発します。
オーソモレキュラー治療の見解では、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、必須脂肪酸などの成分を十二分に身体に供給することは、生化学的異常を修正し、病気の予防、最も非侵襲的治療として利用できるとしています。
ここでまた、自閉症のテーマに戻り、自閉症で考えられる原因とその多角的因子について述べておきます。
① 遺伝的要因
② 母体からの有害物質
③ 酸化ストレス
④ 予防ワクチンの摂取
⑤ チメロサール(水銀)の体内蓄積
⑥ 肝臓の硫黄抱合解毒機能の低下
⑦ 環境・公害要因
⑧ 亜鉛・銅のアンバランス
⑨ 腸管浸漏症候群
⑩ 食物アレルギー
⑪ カゼイン・グルテンエクゾルフィン中毒
⑫ 免疫機能亢進
⑬ 慢性的炎症・感染症
⑭ ミトコンドリア機能不全
などが考えられており、まさに多因子要因となっています。
診断についてここで述べます。
診断は2~3才にされることが多い。
診断基準はDSM-Ⅳ-TR(アメリカ精神医学会の診断基準と、ICD-10(WHOの診断基準)とがあります。その共通する項目をまとめると、
(1)言語障害 (2)社会的相互(対人)関係の障害 (3)常同行動やこだわり
という3つの指標で定義されています。
幼児期の高機能広汎性発達障害の臨床像としての例を挙げてみますと
・ 一人遊びを好み、相手の気持ちを読めない。
・ 好きな物を見つけても、父母に一緒に見てもらおうと指さしや
目配せをしない。
・ 泣き声を毛嫌いし、泣いている子を黙らせようと怒る。
・ 自分なりの理屈を持ち、正論だが、それが周囲の状況と合わない。
・ 特定の道順で行きたがる。ドアが閉まっていないと気がすまない。
環境の些細な変化に困惑する。
・ ぎこちない話し方。方言ではなく標準語しか話さない。
自閉症の統計について
最近、自閉症の頻度は100人に1.2人~1.3人ぐらいの報告が多い。
年々増加傾向である。男児が女児に比べて3~4倍多い。
検査について
①一般的な生化学スクリーニング検査
②食物アレルギー検査
③便による総合消化器系検査
④代謝異常検査
⑤有機酸検査
⑥アミノ酸検査
⑦遺伝子検査
などの検査により以下の項目の異常を検査する
①過剰な量の神経興奮毒素
②有害金属の毒性
③メチル化欠損症
④慢性的ウイルス・細菌感染
⑤セロトニン、ノルエピネフリン、ドーパミンの分泌変動
⑥肝・膵・胃・腸・副腎・甲状腺の問題
⑦ホルモンのアンバランス
これらの問題を明らかにして、治療への糸口とする。
治療方針について
治療は多岐にわたり複雑なため、その方向性を述べるにとどまるが、治療期間は年単位であり、維持治療は生涯続けるべきである。
当初使用する薬剤やサプリメントの数は50~100種類に昇る。
①食事や生活環境から来るストレスを取り除く
②栄養状態を改善する
③酸化ストレスや炎症をやわらげる
④壊れた生化学的なバランスを改善する
⑤免疫機能を改善する
⑥解毒を行う
これまで述べてきたことを、少しまとめてみます。自閉症の原因は単に脳の障害、個人の性格、親の教育などの理由は除外されます。一番の理由は、体内のビタミン、ミネラル、酵素、栄養などのアンバランス。さらに遺伝要因に化学物質汚染、ホルモンバランス異常、腸内細菌、真菌異常、食物アレルギー、感染症などが誘発因子として、症状を起こします。昨今の薬は強烈な即効性があり、症状を抑えるために大変効果的です。自閉症の合併症である、てんかん発作には抗てんかん薬、多動には神経刺激薬(コンサータ)、自傷行為には抗精神薬や抗てんかん薬、パニックには抗うつ薬を使用します。しかしながら投薬を止めると再発し、投薬中は副作用もあります。患者の完治には程遠い状態です。病気はただそのまま残っているのです。ですから今まで述べてきた「根本治療」が必要なのです。自閉症という複雑なパズルの一片ずつが、現代社会の文明病とも言える、多くの健康問題と関連しているという事実に気付かざるを得ません。注意欠陥・多動障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症、アルツハイマー病、Ⅱ型糖尿病、パーキンソン病、多発性硬化症、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群(IBS)、がん、化学物質過敏症、など多くの病気の中で、これらの病気のリスク要因という観点から見ると、自閉症に共通したものがあると思います。
自閉症は我々の近代社会が経験している、実に深淵で深刻な問題を体現しています。私たちが持つ遺伝子に感染症と環境毒素が組み合わさると、真に望ましくない不健康な状況に追い込まれます。病気に罹り易い遺伝子が感染症と環境毒素と結びつくと、人体の重要なサイクル(メチル化)の適正な機能が妨げられ、また神経伝達物質(ドーパミンやセロトニン)のレベルに直接深刻な影響を与える事になるのです。自閉症に対する治療法に少し手直しした方法が、上述の多数の疾患の一部に効果があるのは、このような理由からだと思われます。不幸な事にこの事実は、自閉症をもつ子供たちが、危険を事前に察知する為に使われる“炭鉱内のカナリヤ”と同じ役割を担っていると言うことなのです。この一点の為にも、全ての子供を救う為に我々が力を併せて、前進しなければならないのです。そして何より大切なことは、多くの情報を取り入れ、読んで、聞いて、学んで、実行することです。
自閉症の子供やその親たちが、治療法も無く困っている実態を知っている私達は、研究を続け、自閉症について一つ一つを明らかにして、子供の病気を治したいと願う親たちを支援することです。
アンバランスが身体のどこで発生したかを見つけだしてから、その治療には優に3年は必要です。解毒療法は簡単ではないので、途中でくじけて療法を止めてしまう子供や親もいます。しかし私達はあきらめずに科学的研究を続け、子供やご家族をサポートし、治療を通じて、皆さんを精神的に支え、そして時間はかかっても確実な科学的情報を皆さんに提供します。個々の子供の自閉症の謎を解き明かせるように、お手伝いをしたいと思います。
未来を築く子供たちの為に。
正しい志があれば、必ず明るい道が開かれるのですから・・・希望をもって。
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